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第3話 記憶はマル。
子供達のはしゃぎ声が夕空の下で飛び交っていた。天使や魔女、王子様にお姫様、ありとあらゆる衣装をまとった子供達の笑顔が弾ける。
そんな子供達の集団からすこし離れた場所に、少年と少女は立っていた。
「ちかこちゃん、すごく似合ってるよ」
「ありがとう」
少女は頬をほんのり赤く染め、少年は少女の右頬にそっと手をあてる。
優しい夕日が二人を包み、少女のドレスの裾が秋風にのって綺麗に靡いていた。
「お菓子、たくさんもらえるかな」
「去年よりたくさん欲しいね」
「じゃあ、チョコレート貰ったらちかこちゃんにあげるよ」
「じゃあわたしは、クッキーをあげる」
少女がくすくすと笑う。そしてまだ何も入っていないカボチャのバスケットを揺らしてみせた。
遠くの方から、二人の名前を呼ぶ声がする。互いに顔を見合わせ、声のする方へ駆け出し始めた。
「やくそくね」
「うん。やくそく」
二人の笑顔が夕日の橙色に染まっていた。
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