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第2話 再会はさんかく。
「うぅ…ねむい…」
カーテンの隙間からこぼれる光により、日比谷 千佳子(ひびや ちかこ)の重たい瞼も漸く持ち上がろうとしていた。
布団から顔を半分だけ覗かせる。部屋の冷たい空気に、千佳子は思わず布団に顔を引っ込めた。
「朝来るの早すぎ…」
眠りについてから目覚めるまでの時間の流れの早さに何度不満を感じたことか。しかし、いつまでも憂鬱な気分で布団を被っているわけにもいかない。千佳子は、のろのろと布団から抜け出した。
「つめたっ…」
暖房の効力を失った部屋の床は、恐ろしいほど冷たい。クローゼットから、リボンのボウタイブラウスとベージュのスカートを引っ張り出すと、千佳子は寝ぼけ眼のまま着替え始めた。社会人3年目にもなると、オフィス着に頭を悩ませることもなくなる。
「それにしても、懐かしい夢見ちゃったな…」
着替えながら、クローゼットの横にある箪笥に目を向けた。箪笥の上には、いくつかの写真立てが置いてある。その中の白いフレームの写真立てには、少女と少女の仲睦まじい姿が写っている写真が飾られていた。
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