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お決まりのパターンである。だが、今回の夢の締めくくりは、今までのものとは違い後味が悪い。千佳子は、このまま瞼を閉じ続けていれば、夢の続きをみることができるのではないかと考え、しばらく起きたままの姿勢を保ってみた。
「………」
しかし、その淡い希望も、けたたましい目覚まし時計の電子音によって打ち砕かれる。腕を限界まで真っ直ぐに伸ばし、人差し指の腹でボタンを押した。
「はぁ、ダメか…」
諦めた千佳子はのろのろと布団から這うように出ると、朝食を食べるためにゆっくりと階段へ向かう。
昨日の野菜スムージーは、小松菜を少し多く入れてしまったたため苦い味がしたので、今日は蜂蜜を多めにしよう。
それにしても、さっきの夢の続きが気になる。今までの夢は、全て過去の記憶の再現だったため、今回もそうであることは間違いないのだが、あの後どうなったのか、不思議なことに全く記憶にないのだ。
「あのあと結局どうしたんだろう…」
寝ぼけ眼でそんなことを考え、ぼそぼそと独り言を呟いていた千佳子は、自身に迫る危機に気がつくはずもなかった。
「わぁ」
ひゅっと心臓が浮く感覚と同時にドドドドドッ、という音が聞こえた。
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