きみと何を重ねようか。

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   俺自身の精神鍛錬がまだまだなってないな……と思いながらこっそり息をつく。  すると芽衣の顔が傾いて、下からちゅっと俺の口唇を一瞬だけ軽く吸った。 「……そういう感じ」 「そういうの、たぶんお義母さんは判らないよね。あまり、シロちゃんのこと知らないし……」  しんみりと落とすようにつぶやく芽衣の顔を、じっと見つめ返す。 「悪い子。家族に隠し事ばかり」 “悪い子”という言い方がいかにも芽衣らしくて、肩をすくめた。 「今の俺の家族は、お前だろ」 「……」 「伴侶、細君、妻、家内、嫁さん、カミさん、奥さん、ウチの……他になんか言い方あったっけ」 .
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