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「よくそれだけ出てくるね、とっさに」
「バカ言え。30男の嗜みだ」
「ダンナさんは、そんなにいっぱい呼び方あるの?」
「主人とか亭主とか夫とか? 芽衣に言われるなら宿六とか、いいな」
「それ、あまりいい感じの呼び方じゃないよね」
「知ってるじゃないか」
ふとお互いの瞳を覗き込み、同時にクッと笑った。
「ていうか、シロちゃん」
「うん?」
「別に、他の女の人と会ったからって、いちいちビクビクしなくていいよ。梓さんに限らず。あたし、疑ってないし」
「……そうだな」
今なら俺だって、芽衣が黙って雄星に会いに行っても、そんな感じだと思う。
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