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給食行列のほうでは未だに彼らの言い争う声がする
透くんはというと涼しい顔で給食を食べている
「そういえば…諒くんてこのクラスじゃないの?」
「諒は一つ下の学年」
「あーそうなんだね。だからこの階で見かけないんだ」
名前を出してみたけど、特に用はない
何となく気になっただけだ
放課後、私は家までの道が分からないので透くんに送ってもらうことになった
と、その前に…
あの子だよね
さっきの男の子
お礼言わなきゃ
「あの…」
さっきの男の子のところまで来て声をかける
「何?転校生」
「斎木彩音ね。あの…さっきはありがとう。助けてくれたんだよね?」
「斎木な。覚えとく。うん…まぁ…嫌だしな…ああいうの…ほっとけねえし」
「優しいんだね。あ、名前何て言うの?」
男の子はムッとすると照れた顔で
「優しくねえよ。…石堂武(いしどうたける)」
「武くんね。覚えておくよ」
私はニコッと笑いお礼を言った
すると、武くんは照れたのか顔を真っ赤にして教室を出て行ってしまった
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