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あ!そうだそうだ、透くん!
私は慌てて透くんの元へ駆け寄り声をかけた
「透くん、待たせてごめんね。行こう」
「うん」
私たちは教室を出ると、誰も居ない廊下を歩き出した
「ねぇ、透くんのママって女優さんなんだよね。朝見たとき思ったけど綺麗だね」
ニコッと笑いかけたが、透くんは無表情のまま答える
「うん。昔から綺麗だったってよくパパから自慢話される」
ふーん…そっかぁ…
なんか想像出来るかも
「彩音ちゃんのパパとママは?」
「パパはお洋服のデザインしてるの。ママは家で私やパパのためにご飯作ったりしてくれてる」
「…羨ましいなぁ…うちは二人とも仕事で忙しくしてるからなかなか家に帰って来ないんだ。今日はたまたまだよ」
透くんが遠くを見つめる
寂しいのかな…?
そりゃあそうだよね
私だってなかなかパパと一緒に居れなくて寂しいもん
と、そんな話をしてると校舎口に着いた
お互い靴に履き替え外に出る
「あれ?」
左手に見えるグラウンド
「どうしたの?彩音ちゃん」
「諒くんが居るよ」
私はグラウンドでサッカーをしている男の子たちを指差す
その中には諒くんも居た
「ホントだ」
興味無さそうに言うと、透くんは校門のほうへと歩き出す
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