第3話 再会

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「ま、今日はこのあたりにして。お前はまだ少し熱があるから寝ていろ。元気になったらちゃんと元いた世界に戻れる方法教えてあげるからさ」 乱暴に肩を叩かれ、ベッドへ行けという彼に、無言で立ち上がる。最後に絵本を流し読みして寝よう。ぱらぱらとページを掴み流していると、古いせいか千切れた絵本の中から一枚の絵が足元に落ちた。 それを拾い上げ、繁々とその絵を見つめていた岩田だったが急に顔がこわばった。岩田の異変に気づき、彼が持っている絵を覗き込む 「これは四神と英雄の絵だな。紅が朱雀、青が青龍。黄が白虎で緑が玄武だ」 「そうじゃなくて…その中心にいる…」 「そいつは天帝と呼ばれる人物だ。いわゆる天の使いとも言われていて、邪神に勝てる唯一の人物なんだ。死んでもなお、この世界の異変が訪れるときは必ずその生まれ変わりが現れるらしい」 「え、でもここに死んだって……」 「確かに死んだけどな、邪神の配下とかやることがあるらしくって、天帝の記憶と意思を継ぐ者がそいつらを蹴散らすって噂。容姿はそれぞれ違うけど、決まって古ぼけた腕輪をしているんだ。ま、もし天帝に選ばれたなら強制的にこの戦いに巻き込まれるだろうなーなんせ邪神に対抗できるのは…って何顔青くしているんだ!」 バンバンと乱暴に肩をたたき、お前には関係ないだろ? というが岩田は一枚の紙を凝視している。不思議に思った川崎は岩田の顔を下から見ると震えた声で岩田が顔を上げ、震えながら、そしてどこか笑いながら川崎を見た 「今日の放課後さ、たまたま教室に落ちていた……腕輪を付けたら声が聞こえて鏡の中に引きずり込まれたんだ」 「え…?」 「なぁ…俺…天帝に選ばれていないよな?俺じゃないよな……?」 右腕のブレザーを上げると腕輪を見せ、紙に書いてある絵を対にして見せる。 その岩田の腕には…天帝と呼ばれる男の右腕にしている腕輪と同じものがつけられていた
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