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(……きれいな髪に白い肌…こいつ、性別どっちだ…?)
「何をおびえている? 別に取って食おうとは思っていないぞ」
おびえているわけではない、驚いただけだ。そう反論しようとした岩田だったが口を閉じ壁から離れると絵を指さした。川崎から絵本の事を聞いていた岩田は天帝と四神の事かという。
「そうだ。そして君はまぎれもない天帝に選ばれた…その腕輪によって、な」
「腕輪によって…? でも俺異世界の人間ですよ?そんなことありえるんですか?」
「異なった世界から来たという異例もあるんだ。異世界の天帝ーそんな例があってももう何も驚かぬ」
異世界に自由に行き来できる点やその他にもいろいろあったのか、マスターは表情を崩さなかった。
そういえば道中に川崎が言っていた、今自分の前にいる男は自称神様だと。確かに人ならぬ雰囲気をし、気配もない。岩田の視線の意図に気付いたのかマスターは表情を崩し、きれいにほほ笑んだ
「川崎から聞いた通りだ。私は神ーこの世界の創造主だ。ちなみに性別は男だ」
「………本当?」
「何故嘘を付く必要がある?私はこの世界を作った神。ベースは男、ただそれだけだ」
懐かしそうに壁画に触れながら奥へと進んでゆく。唖然とした岩田だったが、我に返り逸れない様にマスターの後を追っていく。ふと、とある壁画で歩みを止め物静かそうな目で絵を触れる
そこには青い髪をした男と紅い髪の女が抱きしめあった絵が書かれていた。どこか汚い絵だが岩田はマスターの後ろから覗き込む。
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