第4話 守り人と創世神

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「これは朱雀と青龍の絵だ。」 「え? でもこの絵は人間ですよ?」 「四神は元々人間だった。無残にも死んだ4人に哀れにも思った気分屋の男が彼らを神として再び生き返らせた」 また悲しそうな目をして歩き出すマスターを見送り、岩田はもう一度壁に手を触れ青龍と朱雀の絵を見た。 (この青龍って人……いや、気のせいか) 岩田もまた歩き出す。しばらく歩くと大きな扉が目の前に現れ、マスターは扉を開けると先に岩田に入るように言った。 さして広くない密閉した部屋で剣の無い鞘がひとつだけ壁にかかっていた 「この部屋は元々神器があった場所だ…そしてあれは草薙の剣。かつて天帝が使っていた双剣の一つだ」 「双剣…? でも一つしかないし、それに鞘しか……ないし…」 「剣本体はアガラ族の王国にあると言われている。なんせ幻の国と言われているからな。もう一本は1年前のある事件で紛失した。少し持ってみろ」 鞘を壁から外し岩田に差し渡す。すると腕輪が光、鞘がキイイインと音が鳴り出した。 ぼーっと鞘を見ている岩田の目は黒から金に変わろうとしたところを見てマスターは近寄ると鞘を取りあげた。光は収まり岩田の目は灰色になった。その場に膝を着いてただ唖然と鞘とマスターを見ていた 「やはりお前は選ばれたんだな」 下を向いて動かない岩田を尻目にマスターはため息をつくと鞘を元に戻した。膝をついている岩田の腕をつかみ立ち上がらせると彼のズボンの埃を払う。 「本来お前は事が終わるまで現実世界へと戻したい。だがなぜか現実世界をつなぐ道が途切れてしまったのだ」 「それって帰れないって事?」 すぐ帰れると思っていた岩田は、立ち上がったマスターを見上げる。うそではないと、岩田をつれマスターは地下から出、自分の私室へ戻ると大きな鏡の前に立つ 鏡は濁り、自分たちの姿も見えない。触ればバチっと大きな音を立て鏡はよりおどろおどろしい雰囲気に変わり、金に装飾されていた飾りが骸骨へと変わっていく 「お前の存在が邪神にばれたようなのだ。お前がここに来た時ー鏡に異変が起きた」 「まじかよ……」 この時点で、自分はこの世界で戦火に巻き込まれることが決定した。それも、世界を巻き込む大戦争に。実感がわかない…自分がこの世界の命運を分ける人物になったという事が。
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