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「岩田。まずは青龍、白虎、そして玄武の三神に会ってくれ。三神は守り人…お前のクラスメイトと共にいる。会えばすぐわかるはずだ」
眼鏡を軽く押し上げ、先ほど地下から上がってきた扉を閉めると頑丈そうな鍵をした。だが自分は守り人が誰だか知らない。
名前でも教えてほしい。そういう岩田にマスターは会えばわかる。そういい岩田の背中を押し自分の私室から追い出した
「断言されても…川崎は…いないか」
待っていてくれるかと期待した川崎の姿はない。せめて終わるまで待っていてほしかった。何せ自分はここの地理には全く持って詳しくないからだ。
(守り人に会えって言われてもな…)
誰もいない廊下を黙々と歩いていた岩田だったが、ふと庭に通じるテラスを見つけそっと窓を開ける
「すっげー…広い庭」
遊具や花、茶道具などが置いてあり、気分転換にいいかな、と思い岩田は外へ出た
「自然が綺麗だなーここ…そういえば來とはまだ会ってないな…礼も言ってないし…何処にいるんだ」
無意識に來を探すが、彼女の姿は見えない。仕方がない、戻ろうと踵を返し、テラスに戻るが、いつの間にか、出てきた窓は開かなくなっていた
「……なんで?建付けの問題?」
天候も怪しくなってきている。早いところ館の中に入りたい。岩田は誰かいないのか館の中を見るが相変わらず人気がない。
もう一度窓を開けようとするが窓が開くことはなかった。ここから入るのは諦め、岩田はテラスから離れ裏へと回る
裏へ回ると簡単に玄関を見つけた。助かった、これで戻れると思ったのもつかの間。玄関にも鍵がかかっており、がくりと肩を落とした
(えーっとインタフォンは…ん?)
視界に一瞬誰かが映った気がし、岩田は振り返る。遠く離れた所に花束を持った少年が別方向に向かって歩いていくのが見えた。
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