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「串間だよな…? え? 違ったっけ…?」
何も言わず、ただ自分を見つめている串間に彼の名前を間違えてしまったのではないのかと不安になる。
相変わらず、彼は黙ったまま何もしゃべらない。なにか話題を振ろう、と岩田は試行錯誤していると彼の後ろに小さな墓標を見つけた
「それ…墓標? 見てもいいか?」
無言で道を開けたのを見て、見てもいいという事なのだろう。彼を通り過ぎ墓標に触れる。名前が書いていない所を見ると本当の墓ではないようだ。
だが死者を祀っているのは間違いない。両手を合わせ、安らかな願いを祈った時だった。突如シャツの下から腕輪がけたましく鳴り響く。その音に串間は岩田の右腕を見た。
「腕輪が……これどうやったら音なりやむんだ…?」
ブラウスのボタンを外し腕輪を見せる。その腕輪に串間の瞳は強く開かれる。何故彼がこれを持っているのだろうか。何とか音を抑えようとしている岩田を見て串間は唇を強くかみしめた
。彼がこの世界に来た理由が今分かった。
「お前は……選ばれた、だから来た!」
殺気を感じて前にいる串間を見る。彼は腰に掛けていた大剣を手にかけるとそれを抜き去り岩田に切りかかった。。
服が裂けたものの間一髪串間の攻撃を回避することができたがその場に尻をついた。
「な、何をするん……」
≪≪串間、止めろ!彼は天帝だぞ!?≫≫
「知った事か!」
串間の横には何故か透けている蒼い龍がおり、必死に彼に向かって呼びかけていた。何故自分はクラスメイトに襲われているのだろう。何か悪いことを言った記憶は毛頭ない。そもそもあの蒼い龍はなんなのだ、思考を巡らせている岩田を余所に串間は大剣を構えなおした時だった
後から串間の腕を誰かが掴み、その強さに激痛が走ったのか、彼の手から剣が滑り落ち地面に突き刺さる。それを片手で軽々と拾い上げたのは、一人の小柄な少年だった
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