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「貴方は…私を恨んでいますか…? 貴方を殺してしまった私を」
趙雲の問いに、今度は岩田が肩を揺らした。趙雲の表情をおそるおそる覗き込むと彼の表情は暗く、泣いていた。
その表情と、切羽詰まった言葉が岩田の胸を締め付ける。
恨み、妬み、自分が殺したー何度も自分を責め続ける趙雲に聞くに堪えなくなった岩田は立ち上がり、彼から離れる。
ポツリ、ポツリと小雨が振出し、3人の服をぬらしていく。雨の中ー趙雲の嗚咽が聞こえ、岩田は拳を強く握りしめた
「ね、趙雲は…俺達をいつも助けてくれたよ。きっとあいつも……。だから帰ろう…? 俺、趙雲の作った飯が食べたいよ」
うずくまっている趙雲を和田は立たせ、岩田に帰ろうと言って先に丘を下る。
(あの人も俺と同じ境遇なのかな)
腰を下ろし身も名も知らない墓石の前で手を合わせ立ち上がろうとしたとき視界で小さい物キラリと輝いた
「ペンダント?」
先ほど趙雲が落としたものだろうか?それを拾い上げた瞬間、稲光が光った。本格的にこれは降り出す。風邪をこじらせる前に帰ろう。
無造作にポケットに入れブレザーで頭を隠し、先に歩いていた和田と趙雲に追いつくと、丁度館の中へと入るところだった
また締め出されてなるものか-岩田は扉が閉まる瞬間体を滑り込ませなんとか館へ入ることに成功した。
「お帰りなさい和田さん、趙雲さん。それにえっと……岩田さん」
「御三方ともずぶ濡れではありませんか…風邪をお引きになりますよ?」
飛び込むと綺麗なタオルが差し出される。そこには青い髪のロングの女性と、久しぶりに会う來の姿があった
「久しぶりだな來、あの時はありがとうな」
「いえいえ、困ったときはお互い様です。それに、お元気になられたようでよかったです」
綺麗に笑う來につられて岩田も笑顔になる。タオルを受け取り、髪を拭いていると和田と、青髪の女性、趙雲が何かをしゃべっている
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