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宝玉のような玉が宙に浮かんでいた
しばらくすると
青は龍に 紅は鳥に 緑は亀蛇に 黄は虎に
それぞれ東西南北へと姿を消した
そこへ天から光がさし双剣を構えた男性がゆっくりと地上へ降り立った
その男の両手には、白い珠と黒い球があり、男はニヤリと笑うと自分の方へと歩み寄ってきた。
そして自分の目の前に立つと、自分の胸へと右手を突っ込んだ
「!?」
はっとして飛び上がると同時に目覚ましが鳴り、けたたましくなる目覚ましを止める。
(嫌な夢見たな……朝から気分最悪だ)
栗色のくせっけな髪の毛をつかみ、眼鏡を探すと起床を告げる校内放送が聞こえてきた
ーーーーーーーーー
新しい学校に転入してから早1週間。なんとか友達もでき、充実した毎日を送っている。
岩田は授業中今朝の夢について考えていた。
夢の事が気になりどうも集中できない。それに夢の内容がこうもはっきりと覚えているのはあまりにもありえない事だ。大抵夢というのは途切れ途切れしか覚えられないそれをあのように不思議で…そして具体的なないような夢は初めてだった
(……朝から不吉な夢だったな。でも、確か夢占いで死ぬことはいい事って言っていたような……)
窓から視線を外し、反対側の空席をみた。転校した日に席の主はそこにいた。彼とは一日あいさつを交わしただけだ。
前に座っていた岡原という、ニキビ面の少年とバスケの事で意気投合し、あまり話さなかったからだ。
気も合いそうじゃなかったし、初日はあいさつするだけで終わった。
だが次の日、その日を境に串間は学校に来なくなった。他にも3名ほどその日を境に来ていないクラスメイトがいる。その三名は名前も知らないし特に興味はない。
苦手教科の授業を聞く気はない岩田は、ノートに国民的アニメキャラクターの似顔絵を描いていると、頭上に影が曇った
恐る恐る上を見あげると教科書を持って鬼の形相をしている教師が、教科書を丸めて自分を見下ろしている。
「岩田、お前ちゃんと俺の話を聞いていたか? 」
「え、えーっと……一応聞いで!? 」
「なーにが、聞いていた、だ! 今度俺の授業で赤点を取ったら大学の推薦はなしだからな! 」
教科書の角で頭を容赦なく叩かれ、岩田は痛みに涙目になる。頭をクラスメイトの笑い声に教師の叱る声。これが今の岩田ユウタの日常だった。
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