第1話

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「何やってんの、お前ら? さっさと帰れよ。下校時間はもうとっくに過ぎてるぜ?部活行くやつはさっさと行け。」 「……なぁ栗下。マスターとか墓参りって知っているか? 前のクラスメイト? 」 そう尋ねると栗下は特に驚いた表情も浮かべず、にやにやした表情を浮かべ、岩田の肩に腕をからませると、万札を取り出し、岩田のポケットに入れる 「ま、その金やるから……そのこと、俺様に二度と聞くんじゃねぇ」 普通の人ならその脅しと万札の効果で即答するだろうが、岩田は臆することはなく、逆にいらないと万札を栗下に突き返した。彼のその行動に栗下は多少驚いていたが、やがて高笑いしながら離れると、ポケットに手を入れ壁にもたれかかる 「ま、お前が知りたいって気持ちもわかるけどよ。俺たちからしたらお前は部外者で、なんの力も持っていない、ただの一般人だ」 栗下の青い目が岩田を捕える。その目に甲斐たちはほっと安心したような表情を浮かべた。甲斐たちのその落ち着いた態度に疑問をもった岩田だが、先ほどから栗下の言動の方も気になる。 「知りたかったら力を手に入れな。金、名声、権力なんでもいいぜ? ま、大手栗下財閥に勝てる企業なんてそうありゃしないけどなー」 「…………」 一番嫌いな言葉だ、と岩田は栗下をにらみつけると、彼は見下すような笑みを浮かべながら前髪をかきあげる。金持ちには碌な奴はいない、ナルシストに、必ず上から目線だ。嫌な気分になっていると、自分に興味が無くなったのか、栗下は廊下に視線を向けた。 「おっと、悪いな、岩田。俺は風紀を乱す淫らな子ネコちゃんたちに指導するという使命があるんだ。俺の美しい瞳に免じて今は大人しく……帰れ。今日は寮に帰って勉強する予定なのだろう? 」 青い瞳があやしく光、自分を捕える。体が硬直していき体が冷えていくのがわかった。肯定しようとした岩田だったが、ふと我に返る、今何が起きた?なんていおうとした?自分は今、目の前にいる男に屈服しようとした。そのことに負けず嫌いな岩田の闘志に火をつけた
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