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「ごめんね」
「え?」
突然謝られた雄仁は首を傾げた。
「さっき英理子に謝られた時、魔莉ちゃんのこと思い出したの」
「魔莉のことですか?」
「うん。私が魔莉ちゃんの所に行ってる時、雄仁は浮気をされてるようなそんな痛みを感じてたのかなって思って」
「浮気ですか」
その言葉でドキッとしたのは言うまでもない。
こんな思いするくらいなら一層打ち明けてしまった方が。
「英理子の話聞いて私決めたの。絶対にユウトを裏切らない、死ぬまで愛すって」
「姉さん・・・・・・」
「約束なんていつかは忘れちゃうかも知れないけどねお願い。ユウトも約束して」
「・・・・・・」
こんな心境でそんな大事な約束出来るわけありませんよ。
「ユウト?」
返事の無い雄仁に零は不安そうな声を出した。
「その前にひとつ話しておきたいことがあります」
「なに?」
「実は姉さんと疎遠になって家を飛び出したとき「英理子と浮気しました。でしょ?」
「・・・・・・へ?」
ど、どうして知ってるんですか?
「どうして知ってるんですか?って顔してる」
「はい」
「答えは簡単。ついさっき英理子が話してくれたからだよ」
「英理子がですか」
「うん」
「本当にすみません。あの時は・・・・・・いいえ、言い訳しません。全ては僕が弱いばっかりに現実を受け止めきれず痛くない方に逃げた結果です」
「みーんな自分を責めるの大好きだね。もしかしてドMフレンズ?」
「ち、違いますよ!真剣な話をしてるんです」
こちらの真面目さとは代わってふざけた様子に少し怒ってしまった。
「私も本気だよ。だから大切な二人に自分を責めて欲しくないだけ。辛そうな様子を見てるのは辛いからさ」
「でもそれじゃあ、自分が許せないです」
「だから約束。自分を許すために相手を愛するの」
「許すために愛すですか」
「少し強引かな?」
「いいえ。そう言う許し方があるなんて思いませんでしたから感心してます。約束します。姉さんをずっと愛することを」
「それじゃあ誓いのキスを」
「はい」
零は目を閉じ唇を突きだした。
「大好きですよ姉さ・・・・・・零」
一言口にし雄仁は口づけを交わした。
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