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「それじゃあ、僕行くから」
「気を付けろよ」
「ん」
「零さん、どうしようもないやつですけど根は優しい良いやつなんです。どうか今後とも愛してやってください」
「ふふふ、うん。任せといて」
「新に言われるなんてな」
「最悪か?」
「ばか。って言いたいよ」
「もう言っただろ?」
「うん」
去ろうと振り向いた瞬間新は拳を振り上げ雄仁の頭に振り下ろした。
「もう、そのパターン飽きたから」
身体を左に動かし新の拳を避けた。
「んなっ!?」
驚いた時にはもう目の前に雄仁の拳があった。
「吹き飛べぇ!!」
玄関に向かって思いっきり殴り飛ばすとものすごいスピードで家の中へと飛んでいった。
「はぁーヘルメット買おうかな」
「・・・・・・」
どうやら私の中でほんの少しだけわかった男の子の友情が一気にわからなくなりました。男の子って難しいな。
職員室前。
「あーいやですよ。どうして卒業式翌日に学校なんかに」
「竹先生にも顔を出したいって言ったのはユウトでしょ?」
「そ、それでも学校は・・・・・・」
「文句を並べる前に行くの」
零は扉を開け文句を並べる雄仁を放り込んだ。
「し、失礼します!」
「あら、新城君?」
職員室には運が良いことに歴史の先生しかいなかった。
「た、竹澤先生はいらっしゃいますか?」
「竹澤先生?」
歴史の先生が一瞬表情を暗くしたのを雄仁は見過ごさなかった。
「竹先生になにかあったんですか?」
「えーっとね、実は今日の朝学校に来たら綺麗になった机の上に退職願いの封筒が置かれてたの」
「そ、それって・・・・・・」
「校長先生が探してるらしいんだけどどこにも見あたらないって」
「ケータイも?」
「うん。繋がらないって」
「つまり行方不明ですか」
あの人なら休みを満喫するために行方不明になることはよくあるけど、机が綺麗で退職願とか洒落じゃあ済まないだろう。
「もし竹澤先生が帰ってきたら私、新城君が来たこと伝えるね」
「あ、はい。ありがとうございます」
その後、一応竹先生の机を見させて貰ったが髪の毛一本も残すことなく綺麗に物が無くなっていた。
まるで最初から誰も使っていなかったように。
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