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「はっ!?」
「ユウト!起きた!」
意識を取り戻すと起き上がり辺りを見回した。
「ね、姉さん」
零の顔を見ると雄仁は一息吐き布団に横になった。
「大丈夫?」
「僕、なにが?」
「す、すまないユウト!私は嬉しくてつい加減を忘れてしまって」
師匠は滝のような涙を流しながら雄仁に飛びついた。
「いたたたたた!痛いです!は、離してください」
「あ、あぁ、すまない」
「ユウトが背負い投げした後からはもう一方的にやられてたよ。最初はガードしてたけどその内手も上がらなくなってね」
「はは、一方的だったわけですか。あの状態の師匠は感情を爆発させますからね」
「まるで鬼神だったものね」
「本当にすまない。深く反省してるよ」
「いいえ、いいんです。こうなることはわかっていたので」
「わかっててやられに行ったの?」
「はい。いくつになっても親の拳はありがたい物ですから。それにたったひとつの教えがこれですから」
雄仁は拳を握って笑って見せた。
「もっと多くを教えてあげられれば良かったのだがなんせ私自身もこの拳で生きてきた人間だからね。すまない、不自由させてしまう」
「師匠に教えて貰ったことひとつもムダになってませんし不自由もしてません。だから謝らないでください。僕の世界でたったひとりの父であり師匠だと胸張って話したいです」
「そっか。そう言って貰えて私は・・・っっ・・・し、幸せだ!!」
「ユウトは師匠さんにラブラブで少し妬いちゃうな」
「え?」
「ははは。零さんも頑張らないといけないね」
「はい。善処します」
「それじゃあ雄仁の弱点をひとつ教えようかね」
「師匠。余計なことを言わないでくださいよ」
「はい!知りたい」
「それじゃあ耳を貸してね」
師匠は零に雄仁の弱点を耳打ちした。
「ほえーなるほどね」
「どうだい、参考になったかな」
「はい!」
一体なにを言ったんだか。
その後、あまり遅くなるとよくないということで師匠に帰宅するように促された。
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