第1話
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「ママはね……絵を描く人が好きなの。絵が……上手な人が好きなの」 僕を抱きしめたまま、ママは泣きそうな顔でそう言った。 だから、僕は何枚も絵を描いて、ママを喜ばそうとした。 ママは、鉛筆で描いた絵が好きだった。 クレパスで描いた絵より、白黒の味気ない絵が好きだった。 僕は色取り取りの絵が好きだったけど、ママが喜ぶから、仕方なく鉛筆で絵を描き続けた。
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