第1話
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「ママはね。パパより、絵が上手な人が好きなのよ。だから、竜輝は絵が上手だから大、大、大好きよ」 「パパより好きなの?」 「そうよ。パパよりずっと好き。だから、竜輝が大好き」 俺は……ただ、絵が描きたかった。 ただ、それだけだった。 目を閉じれば、幼い頃の自分が思い出された。 まだ、人が疎らな駅のホーム。 一人ベンチに座り、何もかも捨てたものだと言い聞かせた。
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