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きらきらと陽光を反射して輝く水面を見つめる。
船に合わせて、白い波が揺れる。
新鮮な空気を求めて、晋作は深呼吸する。
懐かしい潮の香り。
目を閉じると見えてくるのは、京で別れを惜しんだ友人たちの顔。
晋作は、手の中にある簪を見つめる。
朝顔の模様。
いつだったか、遊女の一人に教えてもらった花言葉。
『儚い恋、そして固い絆』
「絆を求めたつもりなんだが・・・」
前半部分が当てはまっちまった。
晋作は、寂しく笑む。
彼女が一番輝くのは、稔麿の側にいるとき。
わかっていた。
それでも、欲しかった。
自分のものにしたかった。
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