船上にて

3/3
前へ
/83ページ
次へ
「無駄になっちまったか・・・」 敵に塩を送るわけじゃねぇが、不器用なあいつらへの、俺なりの後押しはしてきた。 今隣にいたって、次どうなるかなんて誰にもわからねぇ。 それなら、後悔しねぇように生きてもらいてぇんだ。 てすりにもたれ、晴れ渡った空を見上げると、かもめが飛んでいるのが見えた。 脳裏に浮かぶ、彼女の顔を振り払うように首を振る。 手に入らなかった女のことを、うだうだ悩んでる暇はねぇ! 俺には、することがあるからな! まずは・・・船酔いとの戦いだぜ! 頑張れ、俺! 船なんぞに負けてたまるかぁー! ・・・・・簪は晋作の手を離れ、海中深くに消えていった。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加