彼女は知らない。

疑惑

近くで、彼女を見極めたいと思った。

女将からの文を読むだけでは、わからないことが多かったから。

本当の彼女の姿を知りたい。

それには、実際近くで観察するのが一番だ。

そして、一番最後に受け取った文は、こう締めくくられていた。

『瑞希ちゃん、だいぶ、仕事にも慣れたようです。

お客さんからの評判も良くて、彼女に会いたくて通う殿方も、増えてきました。

もともと、身寄りのない女子と聞いております。

このまま、うちで引き取らせて頂けないでしょうか？

お返事は、急ぎません。

彼女の意向もあると思いますので、一度宿のほうにお越しくださいませ。

私も、お会いしとうございます。

よろしくお願いいたします。』

外に出かける様子もなく、外部との接触は皆無。

けれども、通ってくる男の中に、仲間がいたとすると・・・？

考えても仕方がない。

実際に会って確認するまでだ。