疑惑

7/8
前へ
/83ページ
次へ
「ま、待って・・・」 その声は、彼女の耳には届かない。 背後から、ものすごい圧力を感じる。 「晋作、言ったよね?あの女が、間者かどうか判断つくまで、泳がせるって。」 「い、いや。聞いたけど・・・」 殴られた頬を押さえながら、後ずさる。 「なのに、勝手に接触してるって、どういうこと?さっきの様子からすると、一度や二度じゃないよね?」 「い、いや。せっかくだから、彼女を口説き落として、口を割らせようかと。惚れた男になら、口も軽くなるだろう?」 「惚れた男?」 「もちろん、俺様っ!」 晋作は胸を張る。 「馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけど、これほど馬鹿だとは思わなかった。」 盛大なため息と共に、辛らつな言葉が降り注ぐ。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加