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「ま、待って・・・」
その声は、彼女の耳には届かない。
背後から、ものすごい圧力を感じる。
「晋作、言ったよね?あの女が、間者かどうか判断つくまで、泳がせるって。」
「い、いや。聞いたけど・・・」
殴られた頬を押さえながら、後ずさる。
「なのに、勝手に接触してるって、どういうこと?さっきの様子からすると、一度や二度じゃないよね?」
「い、いや。せっかくだから、彼女を口説き落として、口を割らせようかと。惚れた男になら、口も軽くなるだろう?」
「惚れた男?」
「もちろん、俺様っ!」
晋作は胸を張る。
「馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけど、これほど馬鹿だとは思わなかった。」
盛大なため息と共に、辛らつな言葉が降り注ぐ。
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