遺言

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狂乱の一夜が明けた。 被害状況の確認と、現状把握に、藩邸にいた人々が駆り出される。 そんな中、稔麿が遺体で見つかった。 そして、ここ数日、ずっと感じていた胸騒ぎの正体を知る。 「ねぇ、九一。九一は瑞希を好き?」 無言を貫く九一。 「聞くまでもないか。  もし、もしもなんだけど。  僕がいなくなったら、彼女のこと頼んでもいいかな?」 「言われるまでもない。お前が彼女を不幸にするなら、今すぐにだって奪ってやる。」 「そう・・・」 何の戯れか知らないが、改めて確認されるまでもなかった。 稔麿がいなければ、そう思ったことがなかったか。 普段なら、そんな不確かなことを口にすることがない稔麿。 その不自然さにそのときは気づくことなく。 与太話として流してしまったことを思い出す。
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