85人が本棚に入れています
本棚に追加
鉄の頭を押さえて、首から紐を取る。
固く結ばれた紐を解くのに、少し時間がかかったが、紐には、紙が付けられていた。
震える手で、紙を開く。
そして、書かれた内容を見て、二度、戦慄する。
これから池田屋に向かう?
玄瑞は、自刃。晋作は、労咳。そして、私も死ぬ・・・?
これでは、まるで彼女の遺言だ。
彼女は、いつからこの秘密を抱えていた?
それより何より、今は。
「池田屋に向かう・・・?」
まさか、昨日の夜、彼女はあの場にいたのか?
九一は、慌てて草履を履き、先日訪れた旅籠へ急ぐ。
まさか、まさか・・・
言い知れず、不安が大きくなっていく。
最初のコメントを投稿しよう!