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智が湯沸し室で、コーヒーを淹れようとお湯を沸かしていると、恵が顔をだした。
「仲間! コーヒー入れてんの」
「仲間さんでしょ、ちゃんと呼ばないとコーヒー入れてあげないよ」
「コーヒーなんていらないから仲間! チョコレート買ってきて」
「どうしてぼくがチョコを買うわけ?」
「恵が欲しいから、買ってきてよ仲間さん」
「こんなときだけ、仲間さん、かよ!」
文句を言いながらも智はコンビニに行き、カカオ88%のチョコを買ってきた。
「はい、チョコレート!」
「ありがとう、仲間さ……、これってあんまし甘くないやつじゃない?」
「うん、カカオがきいてて美味しいよ、赤ワインにも合うし」
「あのね! 恵はあま-いのがいいの、赤ワインに合おうがどうしようがどうでもいいの、ストロベリーのチョコとか、なければアーモンドチョコでもいいわ」
「案外、子どもぽいんだね、恵さんは」
恵は色白のほほをふくらませながら、足早に湯沸し室を出ていった。
あとには、湯気の立つコーヒーカップが2個、丸いトレーの上にのっていた。
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