第1章 智と琴音とそして恵

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智が湯沸し室で、コーヒーを淹れようとお湯を沸かしていると、恵が顔をだした。 「仲間! コーヒー入れてんの」 「仲間さんでしょ、ちゃんと呼ばないとコーヒー入れてあげないよ」 「コーヒーなんていらないから仲間! チョコレート買ってきて」 「どうしてぼくがチョコを買うわけ?」 「恵が欲しいから、買ってきてよ仲間さん」 「こんなときだけ、仲間さん、かよ!」 文句を言いながらも智はコンビニに行き、カカオ88%のチョコを買ってきた。 「はい、チョコレート!」 「ありがとう、仲間さ……、これってあんまし甘くないやつじゃない?」 「うん、カカオがきいてて美味しいよ、赤ワインにも合うし」 「あのね! 恵はあま-いのがいいの、赤ワインに合おうがどうしようがどうでもいいの、ストロベリーのチョコとか、なければアーモンドチョコでもいいわ」 「案外、子どもぽいんだね、恵さんは」 恵は色白のほほをふくらませながら、足早に湯沸し室を出ていった。 あとには、湯気の立つコーヒーカップが2個、丸いトレーの上にのっていた。
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