2人が本棚に入れています
本棚に追加
「福知さんも、なにか作りましょうか?」
「お腹は減ってないんだ。チョコレートをだして、カカオ100%のやつ」
福地は、イタリア産の赤ワインとカカオ100%のチョコが大好きなのだ。
智は昼休みでの、恵のことを思い出していた。
「福知さん、カカオ88%のチョコはどう思います?」
「うーん、コンビニでも売ってるし、普通に美味しいと思うよ。でもオレにはこのくせのある100%のこいつが一番だな」
カカオ100%のイタリア産チョコで上機嫌で酔っ払う福知。
琴音は洗い物をしながら智にこっそり話しかけた。
「ねえ、あとで逢えない…」
「逢いたい」
「お店閉めたらメールするし…、戻ってきて」
智は、がばっと勢いよく椅子から立ち上がった。
「うまかったなぁ、ごちそうさま。福知さん、お先です」
「お、もう帰るの? おれと琴音さんを2人だけにして心配じゃないの」
赤い顔で笑いながら、福知は智の背中に声をかけた。
「夜はまだ少し冷えるかな」
エレベーターを降りた智は、独り言を言いながら歩いて自分の部屋に帰ってきた。
琴音が智の部屋に来ればいいようなものだが、彼女はけっしてそうしようとはしなかった。
時間があるので、シャワーを浴び、着替えてコーヒーを飲んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!