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「ブル…ブル…ブ」琴音か ら、メールが来たので急いで部屋をでる。
足早に歩きながら、なんとなくまわりを気にしてしまう。
もし途中で酔っ払った福知にでも出会ってしまうと、話がややこしくなるかもしれないからだ。
ビルに向かう路地に入ろうとした智を呼ぶ声がした。
「仲間! さ、ん」
「え……」
振り返った智の目の前に、花束を胸に抱いた恵が自転車に乗って立ち止まっていた。
驚きのあまり立ち尽くす智。
花束を抱いて戸惑った表情の恵が、可愛くそして花束のある胸の辺りが豊かにやさしく思えた。
「いまごろ、ここで何してるの?」
「ああ、ちょっとお酒のみに……、恵さんこそどうしたの」
「いいな、恵も行く。連れてって」
恵は、胸に抱いている花束を押し出すように智に差し出した。
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