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花束を受け取った智、広がる香りを胸の中一杯に吸い込みながら言った。
「恵さん、君こそこんな遅くに花束抱いてどうしたの?」
「わたし? フラワーアレンジメントを習ってんの」
「それで花束、でもこんな遅くまで……」
「今日は特別、とっても大事な人と逢ってたの……ふふ、気になるの、仲間!」
「それよか、この花束、どうしたらいい」
「仲間にあげる、そのかわり飲みにつれてって」
「大事な人と逢ってたんだろ、このまま帰ったらどう」
「仲間ぁ! 妬いてるのか、カワイイ」
智はとてもとても困ってしまった。琴音が待っているし、このまま恵を置いて行くと明日からうるさいからだ。
「お、智くん。デート中か」
顔を真っ赤にしたご機嫌な福知が、二人のそばに立っていた。
「福知さん!」
「かわいい彼女さんだね、紹介してよ」
「恵です、いつもおせわになっております」
恵が、やけにていねいに福知にお辞儀をした。
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