始まりは

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それは夢だった。夢なんてここ最近いつ見ただろうか。僕はいつ夢を見ただろうか。 「今だよ」僕はこううそぶき一人で自分に突っ込んだ。 そして笑った。 ぼんやり一日が過ぎる。土曜日の休日が終わってゆく。何をする訳でもなく時間が過ぎてゆく。 ふと見ると薄暗い空の色で。僕は二階の自分の部屋から降りて、何だか物置を探ってみようと思い立った。 物置だからって馬鹿にしてはいけない。僕の家は古くから伝わる名家で、色々な骨董品やらなんやらが眠っているのだ。というのは嘘で、僕の思い出の品があるだけだ。 小学校の卒業アルバム、銀色の空き缶に友達と詰め込んで出来た開けることの事無いタイムカプセル。それから……タンク花火とネズミ花火。 それを見つけた時僕の思考は去年の夏に戻っていた。
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