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僕は物置から飛び出した。そして玄関を越えて家を出た。誰もいない家。空っぽの家。さっきまで僕しかいなかった家。何だか、デジャブがした。誰かの残像を僕も被っている。そんな気がした。
季節は冬で、寒い冬の道路を僕は走っていた。一生懸命走っていた。
「すみません、ちょっと通して下さい」
「まあ何かしら」振り返った近所の奥さんと言った人の二人連れの一人が言う。
僕は手荒に通り抜けた。
「近頃の若い子は分からないわね」もう一人の方がそう言ったが気にせず僕は走り抜けた。坂道を下り、また上って。
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