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程なくして、あまりタチのよくないマニアがショウルームを占拠するようになり、ショウルームは閉鎖された。
そしてその文具店自体、マイコンの取り扱いをやめてしまった。
当時はブームの真っ最中。マイコンたちは、メーカーも機種も仕様も、それこそ百花繚乱。
余裕のある大きな店では、ショウルームは整理され、正規の売り場になっていった。
ある時、家電量販店に買い物に付いて行った僕は、衝撃の光景を目の当たりにした。
ポールと紐の手摺に囲まれた展示棚で、様々なマイコンたちが、デモ画面で性能と美しさを競っていたのだ。
触れる事さえ許してもらえなくなったマイコンたち。
もう二度と逢えないかりんさん。
きらびやかな展示コーナーの真ん中で、僕は突然へたりこみ、大声を上げて泣き出してしまった。
かりんさんが恋しかった。
ショウルームに帰りたかった。
どんなに綺麗なグラフィックより、HELLO WORLDの虹が見たかった。
僕はまだ、片手で数えられる年齢の内、耐え難いほどの懐かしさに襲われて、ただ大声で泣きじゃくったのだ。
「マイコン」という言葉が消え、「パソコン」と呼ばれ始めた頃のこと。
一連の出来事として憶えている、僕の一番古い記憶である。
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