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そんなこんなで帰り道。
結局、俺は王道主人公こと葛野勇人(くずのゆうと)と帰るはめになりました。
元々断れると思ってなかったさ……
だって脅されてるもの。俺。
正確には葛野の父親が俺の父さん(課長)が勤めてる会社の部長(人事部)で、勇人の親友でいないと首にするぞー!ってなわけです。
だから、結局は一緒に帰らなければならなかった訳よ……
別に親なんかどうでもいいんだけどな。
はぁ……
「荒ちゃーん!!
ダァァイブ!!」
「うおっ!?」
いきなり背後に抱きつかれた!?
前のめりになるもののなんとか踏みとどまり転倒を阻止。
よくやった、俺の足。
「えへへへ♪
お姉ちゃんは久し振りに荒ちゃんに会えてテンションマックス、振り切れ状態だよっ!」
ハイテンションで俺の背中に乗っかっているのは葛野家で唯一好感がもてる人。
葛野茜(くずのあかね)さん。
グラビアアイドル顔負けのプロポーションに綺麗な栗色の長いストレートを垂らした顔は惚けてしまうほど整っていて、大きなしばみ色の瞳が可愛らしく普段純粋な子供みたいに無垢で無邪気な癖にときたま大人っぽいとギャップが物凄い大学2年である。
「茜さん。いきなり飛びついてきたら危ないですって!!」
「あっ……ごめん。
つい、荒ちゃんを見つけたから舞い上がっちゃって♪」
猫のように素早く俺の背中から降りる茜さん。
嗚呼、自分の非を認められるって素晴らしいことだよな。
葛野と一緒にいるとそう思えるよ……
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