人として生きる。

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秋風吹いて揺れ動く紅葉の木々。 木の葉で作ったフカフカベッドに横たわる動物が二匹。 銀色の毛並みを輝かせ、凛とした鋭い目つきの狼の親子。 ただし、普通の狼の親子ではない。 父狼の隣で眠る子ども狼、名前は[ギン]。 彼は狼の姿であるのと同時に人としての姿になることができた。 この主人公は、[人狼]として生まれたギンの物語。 「ギン…お前も大きくなったな」 父狼の目つきは鋭く寝息をたてるギンを見つめるが、その奥にやさしい感情が読み取れる。 「お前は俺とは違うんだ…。明日、すべてを話そう。」 決意を決めた表情を浮かべたまま、満月に向かって遠吠えを一つ。 ただ、明日を来るのを待って夜が更けていく。
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