第2話

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             ◆  こいつは何を言ってるのか、今の僕にはあまり理解できなかった。でもなんとなく理解できたのはこの会話が、たまに出てきては僕の頭を支配するあの疑問に対しての答えの一部くらいは見えそうな気がした・・・。              ◆ 「・・・おい、イマジナリーフレンドの話は何処に行った?」 「あ~、それはね、子供っていうのはさ、大人よりも直感が鋭いってことさ」 「・・・は?」 「つまりね、さっき言ったようなことが本当なら、人は自分の好きな言葉しか聞かなくて、自分の好きなモノしか見ないってことでもあるんだよ」 「・・・うん」 「じゃあ現実にいる友だちと自分の中で作った自分の言うとおりのこと望む通りのことを言ってくれる友達の何が違うと思う?」 「・・・それは・・・」 「だから自分で作っちゃうのさ、自分の思い通りの友だちをね」 「でも・・・じゃあなんで消えてしまうんだよ?」 「飽きるからさ」 「へ?そんなことなのか?」 「少なくとも君はそうだった、僕は君が僕の声を聞かなくなってからも君に話してたんだよ、ただ君はぬいぐるみからじゃなくて現実世界から僕の声を聞くようになった」 「・・・それはつまり、僕の解釈の言葉ってこと?」 「そうそう、平たく言えばね」 「・・・だから子供はそういう遊びに興じるってことか・・・」 「うん!そういうこと」 「・・・分かった、じゃあもう一つだけ聞きたいことがある」 「何?」 「僕は何故ぬいぐるみから声が聴こえるようになったんだ?」 「必要になったからさ・・・」 「必要・・・か・・・それってどういう意味だ?・・・おい・・・おい!」 クマ吉は何も答えなかった。 「必要ってなんだよ・・・」              ◆ その夜のこと、僕は眠りについていた 「ねえ・・・ねえてば!」 「ん?」 クマ吉の声に起こされた 「どうした?」 「寝返りが打ちたい」 「・・・」 僕は黙ってクマ吉の寝相を直した 「これでいいのか?・・・おい・・・おい!」 クマ吉はまた喋らなくなった・・・ 「必要って・・・必要ってそういうことじゃねえだろ!!!?」
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