512人が本棚に入れています
本棚に追加
/173ページ
「あっあの…紺野さん!」
俺の制服の裾を掴んでもじもじとうつむく松山くんは、俺より背が頭一つ分小さい。サラサラの茶髪に大きなくりっとした瞳を持つ童顔だ。
襲われる理由にも納得。
「助けて下さってありがとうございました!」
頭を深々と下げて、お礼を言われた。お礼を言いたいのはこっちの方だ。会長をいじるネタが一つ増えたのだから、なんて言わずに、代わりに
「どういたしまして。君が無事でよかった」
我ながら寒い台詞を吐く。
俺の性格知ってる人が聞いたら吐血するレベル。
「次は気をつけるんだよ」
と言い残し、俺はその場を去った。次強姦魔をトイレで見つけたらタワシを使おう、と物騒なことを考える。
面白半分なやり方で人を助けることの多い俺だが、こうやって感謝されるのも案外悪くないかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!