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もぞもぞ、とわたしは動く。中々離してくれない沖田さん。動くたびに締め付けてるのは間違いじゃないはず
「あ!そうだ、皆がおチビちゃんに自己紹介しないとおチビちゃん皆の名前わからないよね?」
「え、あ、はい」
「じゃあ、みんな自己紹介していこうか。僕はやったから、一くんから」
沖田さんは勝手に斎藤一さんを指名した。斎藤一さんは眉をピクッとするものの、拒否はしなかった。
「俺は斎藤一だ。好きなものは高野豆腐。嫌いなものは煩い媚びをうる女だ。よろしくな、チビ」
…ん?チビ、ですと!?どうやら、このままでは皆さんが私をチビ呼ばわりするだろう。
「じゃーあ、次は俺!藤堂平助。好きなものは寿司!嫌いなものはないな。よろしくな、おチビちゃん」
「次は俺だ!俺は永倉新八。新八って呼んでくれ。好きなものは酒。よろしくな、おチビちゃん」
「次。原田左之助だ。よろしくな、おチビ」
「わたしは井上源三郎だよ。源さん、と呼んでくれ。彩乃くん、よろしくね」
「む、最後は私か!近藤勇だ!よろしくな、おチビさん!」
…今までの自己紹介を聞いて、一番に酷いと思ったのは近藤さんだった。皆は肩を震わせ笑いをこらえてる。
「…あの、今って何年ですか?」
「ん?文久三年の春だが」
「ありがとうございます!」
文久三年、春。
一人の少女が現代から幕末へと超えてきた。
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