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「…彩乃ちゃん、芹沢はん。よろしゅうたのんます」
お梅さんは優しく微笑むと、私達の方へお辞儀をした。芹沢さんは機嫌良くうむ、と頷いた。
「…では、屯所へ戻りましょうか。」
「ああ、そうだな」
芹沢さんがお梅さんを支え、二人が先に歩き出した。私はその二人の後ろを歩こうと、足を踏み出した瞬間、背後に微かな殺気を感じた。
後ろを振り向くと、ちらりと見えた人影。それは、紛れもなく…
「…すいません、芹沢さん、お梅さん。少し急用を思い出してしまいました。先にお戻りください」
「…?ああ、わかった。気をつけてな」
「はい」
私は踵を返すと、少しだけ見えた人影の元へと走っていくのだった。
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