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ーここはとある子供部屋ー
「昔々、あるところにアルカディア王国という国がありました。」
ベッドに眠るまだ幼い男の子に、母親と思われる女性が本を読み聞かせていた。
「国は緑豊かな平和な国で、人々は魔法を使って生活をしていました。
しかし、ある時、突然『魔王』と名のる者が現れ、国のあちらこちらで悪さをするようになりました。多くの魔法を使えるものが、魔王を倒そうと戦いを挑みましたが、敵うものは一人もいませんでした。
国の王様が、もうこの国は終わりかと思った時、王様の目の前に、勇者が現れました。
勇者は『私にお任せください!必ずや魔王を倒して見せましょう!』と言うと、仲間を連れて魔王の城に向かいました。「ねえねえママ、ゆうしゃってつよい?」ええ、強いわよ~!悪いやつを一発で倒せちゃうくらい。「ほんと?じゃあぼく、おおきくなったら、ゆうしゃになる!」まあ、それはいいわね。じゃあ、大きくなるためにいっぱい寝なくちゃ駄目よ?
今日はここまでにしましょう?
慶ちゃん、おやすみなさい。」
慶ちゃんと呼ばれた男の子は、おやすみなさい、と言うと、目を閉じた。
それを見届けた母親は、布団をかけ直すと本をもって静かに部屋を出てドアを閉めた。
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