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今季最後の大寒波。
外ではうっすらと雪が積もり始めているというのにここは、こんなにも熱い。
熱くて、熱くて。
目眩が、する。
重ねた体はしっとりと汗ばんで肌に吸い付く。
今まで抱いた女とは違う、丸みのない体。
肉のあまりない引き締まった体躯に浮かぶ骨格はやはり男のもので。
「っ、あ」
声も、そう。
なのに──
「声」
意地悪く指摘して唇を撫でると、声を殺そうとしてなのか無意識なのか、そいつはそのまま俺の指を食む。
その湿った熱と感触が、つん、と刺すように俺の脳を揺らした。
あの時もそうだったが、こいつは中々煽るのが巧い。
また一つ灯った熱に項へと唇を落とせば、その体がぴくりと仰け反る。
くっきりと浮き出た肩甲骨がいやに艶かしくキレイで。
俺はまた、そっと唇を寄せた。
同種であるからこそ、どこをどうすれば良いのかは手に取るようにわかる。
「や、セン……セッ」
その反応も一目瞭然。
ヤバい、これはマジでハマりそう。
熱の籠った目が俺を見る。
色の滲んだ声が俺を呼ぶ。
触れ合う肌が心地良くて、
身体が、疼く。
込み上げる。
──イケナイコト
そんな思いが一層この行為を甘くする。
なんの実りもない、生命の営みに反するこの行為を。
「っ、く」
肩を震わせてきつく拳を握る手に、自分のそれを重ねる。
ゆっくりと、時間を掛けて、
汗も、熱も、吐息も、鼓動も、
全てが一つに溶けていく。
霞む思考にこの先どうなるのかなんてもう考えられなくて。
今はただ溺れるように、堕ちるように。
俺は、目の前の快楽を貪った。
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