ひらりと木枯らし。

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  「持つ」 「ありがと」  ニコッと微笑みながら、芽衣は何本かビールの入った袋を俺に差し出した。  そこは遠慮しないのが彼女の可愛らしいところで、思わずふっと小さな笑いが漏れる。  並んで歩き出すと、芽衣はそーっと腕に手を回してきた。  特に反応することもなく受け入れてそのままでいると、彼女はふいにクスクスと笑い出す。 「なに」 「ううん。優しいなって思っただけ」 「?」  歩きながら「なんで」という視線を向けてやると、目が合った瞬間芽衣はしまった、という顔をした。  これは、見逃すわけにはいかない。 「芽衣」 「なんでもないよ」 「なんでもないことないだろ。嬉しそうにしたくせに」 「なんでもないったら」 .
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