【番外編】シロちゃんのありえない体験-1

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   それなのに、黒いTシャツに真新しいデニム。  確かに、23くらいの頃、プライベートではよくこんなの着てた気がするが。  じっとりと滲んでくる汗が気持ち悪い。  久しく真夏の空気なんぞ忘れていたせいで、なんか、耐えられそうにない。 「ちょっとちょっと」  上から声が落ちてきた。  どう見ても昔の芽衣じゃないかという少女は、訝しげに俺を見下ろしている。 「大丈夫そうなら、あたし、もう行きたいんだけど」  わずかに苛立つその雰囲気は、俺の知る芽衣とは似ても似つかない。必死で思考を回す。 .
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