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「……うん、待って」
「なんだよ」
これは夢か、幻か。
「名前、なんていうの?」
「うわっ、あからさまに怪しい」
「いや、ごめん。判ってるけど、一応」
「なに、一応って」
夢でも幻でも現実でも、芽衣に胡散臭い奴だなんて思われたくはなかった。
ファンタジーを夢見るほど自分は世間知らずではないと思うが、確証がない。
完全に夢だと判れば野放図をやらかしてやるが。
「きみ、知り合いにすごく似てて」
「うわ、オッサン、中学生の知り合いいんのかよ」
一応警戒心は持ち合わせているようだが、言外に中学生だと白状するあたりが子どもで、なんだか眩暈がしてくる。
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