【番外編】シロちゃんのありえない体験-1

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   もう一度『ませてんな』と言う気にはなれなかった。  俺の思考を見抜いたようなタイミングで言われたからだ。  ……ところで、美智子さんのカレシって、やっぱり雄星なんだろうか。  俺ともにょもにょあったときは、雄星に対してドライな感じに思えたけど。  本命の男の前では、そうでもないんだろうか。  ……娘を置いて旅行に行こうと思うほど。  芽衣の小さな頭を見下ろした。  見下ろす角度も頭の大きさも、俺の芽衣とそう変わらないと思うのに、つむじだけで今の彼女はまだ子どもなんだってことが判るのが、不思議だった。 「じゃあ、帰ってくるまで一緒にいてやろうか。寂しいだろ」  幼い芽衣のつむじが可愛いな、と思った瞬間。  何も考えずに、そう口にしていた。 .
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