【番外編】シロちゃんのありえない体験-1

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  整理してみよう。  俺は、穏やかに年末を迎えるはずだった。  芽衣が張り切る大掃除を手伝うつもりで、足腰立たなくなるまでこき使ってもらうつもりで、家の中の電球をLEDに替えようと思って──。  洗面所の照明を見上げ、手を伸ばしたところまでは、覚えているんだが。  だが、何で今、こんなに蝉の声がワンワン響いてるんだ。  自分が味わっていた季節感の中にはありえないものだったから、てっきり耳鳴りかと思った。  それに、服装だっておかしい。  グレーのセーターと、穿き潰してしまうつもりで古いデニムを身に着けていたはずなのに。  どっちも、大学生の頃から持っていたものだ。 .
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