第3話

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「俺の足から逃げようなんていい度胸してるな」 どすの利いた声にはっと我に返った。 この状況って大ピンチだよね…。 「……常…務、」 瞳がぎらつき、 マジギレ寸前5秒前みたいで怖い……かも。   とりあえず、 故意に逃げたことを誤魔化すように 頬をひきつらせつつも笑顔を出す。 「お疲れ様です…」 「クライアントを無視するなんてトラストさんはどういう教育をしてるのかな?」 ……くっそぉ。 嫌味のポイントをつくのがうまい。 これもアメリカ仕込なんだろうか? 「そんな、無視なんてしてません。聞こえなかったのです、すみません」 「じゃ、何で急に走ったの?」 「それは、電車の時間が迫ってまして」 「向かってたのは地下鉄の入り口なのに?」 …む、目ざとい人。 舌打ち入れたい気分だ。
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