第3話

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常務はたぶん 自分の話しにこちらがのっかって来てくれるのを 期待していたのだろう。 予想に反してあたしがノーリアクションだから 釈然としない顔になっている。 あたしはだんだん焦りが冷めてきて、 臆することなく当然の要求を言った。 「失礼ですが、腕を放していただけませんか?」 「あ、…ああ、ごめん」 常務室での鬼気迫る感じは 時間を置いたからなのか抜けていて、 意外に簡単に解放してもらえてほっとした。 悪い人ではなさそうだ。 そのまま、 お互い次の言葉を捜すように押し黙る。
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