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常務はたぶん
自分の話しにこちらがのっかって来てくれるのを
期待していたのだろう。
予想に反してあたしがノーリアクションだから
釈然としない顔になっている。
あたしはだんだん焦りが冷めてきて、
臆することなく当然の要求を言った。
「失礼ですが、腕を放していただけませんか?」
「あ、…ああ、ごめん」
常務室での鬼気迫る感じは
時間を置いたからなのか抜けていて、
意外に簡単に解放してもらえてほっとした。
悪い人ではなさそうだ。
そのまま、
お互い次の言葉を捜すように押し黙る。
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