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「先代様は偉大でした。褐色病の研究も、誰より早く誰よりも熱心に取り組んでいらっしゃいました。本当に本当に偉大な方でした。それなのに貴方様は」 私の話なんて聞いてない。 ほとんどミルクのコーヒーを飲みながら、今日も一日ぼんやり虫部屋の蝶々を眺めているだけ。 「……もし、先代様が生きていたならば。もし、あの時」 言いかけて、慌てて口を閉じた。 私の話なんて聞いてないだろうけど、これは絶対に言っては駄目だ。
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