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兄妹⑦
その子は、涙目のまま、一生懸命カレーを食べてたんです。
お母さんの言いつけを守りたいから、ゆっくり食べていたら怒られてしまうから……
味わう余裕もないぐらい、急いで食べてたのです。
でも。
もともと、食べるのが遅い子なのでしょう。焦っているからか、口の周りをベトベトに汚してしまっていて……
きっと、それをまた怒られてしまうのに、それすらも気付かずに必死にカレーをかき込んでいたんです。
目いっぱい涙を溜めて。一生懸命に、あぐあぐ、もうね、この世には親子の情はないのかと、
寂しい気持ちになってしまいましたよ。
あんなお母さんはやめて、お兄さんチの子になれと、そう言って抱きしめてあげたくなったほどです。
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